異世界転生する前に

異世界転生する前に

異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

皮の鞣し(口鞣し・燻煙鞣し・タンニン鞣し)

前回、最初の衣服で衣服を創るのに『革』が必要と記載しました。それでは、今回皮⇒革にする方法を記載していきます。

このブログで必要なのは最低限度冬が越せる防寒具です。ですので、裏側の毛は残して置きたいです。創ってみて毛皮が駄目そうなら、毛皮無しの一枚の革にします。また、商売用でないため、質や出来には拘らないって方針です。

①動物を狩る

当たり前ですが、毛皮は動物狩らないといけません。このブログでは落とし穴で鹿・猪、弓矢で兎を狩るのを推奨します。動物の解体は引っかかりそうなので書けてませんが、肉を食べようとするなら、必ず皮は剥ぐことになります。

※動物の皮は腐りやすいので、これ以降の作業はなるべく時間を置かずに行いたい。同様、夏の時期は避けること。

②ひたすら洗う。

言うまでもありませんが、野生動物の皮は非常に不衛生です。泥や土も付いてますし、マダニなども溢れんばかりについています。本来、ゴム手袋を使って作業するのですが、異世界転生時だと素手でやらざるを得ないですね。木灰・石鹸ムクロジ・トチノミあたりを利用しましょう。洗い終わったら陰干しで乾かします。

③内側の皮の肉片や脂肪を取り除く。

「裏すき」と呼ばれている作業ですね。現代では高圧洗浄機を使うみたいですが、異世界なら『石器』ですね。地域によっては黒曜石もあるんですが、裏すきに関しては黒曜石だと逆にやりにくいと文献にあります。木の板や石で皮を固定した方が削ぎやすい。

・・・これだけで半日以上かかりそうなんすが、便利な道具が無い以上地道にやるしかないですね。

毛皮でない場合にはこの前後に脱毛に石灰液とかに浸けるみたいですが、当ブログでは割愛。

③もう一度石鹸などで洗う。この工程は②も含めて洗浄だけなく脱脂も含みます。本来はあまり強い石鹸を使うと脱毛してしまうのですが、おそらく木灰の強い石鹸を使わざるを得ないと思います。脱水や防腐の為にを一面にまぶす。

鞣し

ここまでが皮の下準備となり、ここから『鞣し』と呼ばれる皮⇒革にする処置を施すのですが、この鞣し方法いくつか方法があります。

①口鞣し②燻煙鞣し③タンニン鞣し④クロム鞣し⑤ミョウバン鞣し

今現在使われている鞣しだと④のクロム鞣し、⑤のミョウバン鞣しまたは③+④のコンビネーション鞣しが多いのですが、④⑤は素材の入手が『最初の冬までに創る一枚』ではかなり難しいと思います。なんでこのブログの現況では除外。

①、②、③、②+③のいずれかの方法で、あとはトライ&エラーで。

 

口鞣し

ドクターストーンで千空が、鹿の皮を噛みまくってたアレですね。極寒のアイヌエスキモーなどが使っていた鞣し方法で、固くなった皮をひたすら口で噛みまくります。

メリット:道具や素材が不要なため、時期を問わずいつでも出来る。

デメリット:①この鞣し方法で出来る革は、かなり品質が悪く皮もどきと言ってもいい。そのため、すぐに腐る。腐敗しにくい極寒の地限定の技法とも言える。

②念入りに洗いはするが、それでも皮が不衛生なのは間違いない。口で噛むことで何かしらの病気になる可能性がある。

個人的には、他の方法が全部失敗した時の最終手段の鞣し方法です。

 

燻煙鞣し

松の葉や藁を燃やした煙で燻し皮を鞣す方法です。あくまで場所が日本であるなら、松の葉は大量に入手可能(藁も難しくないと思う)ので、素材の入手は簡単に出来ます。

皮をどのくらい燻すかについてですが、燻煙鞣し自体が口伝の秘伝の技なので文献が無いですね。この方法は甲州印伝のように皮が染色されます。(同時に防腐)あくまで推測になってしまうのですが、この防腐は『燻製』の処理に近いように感じます。だとすると、丸二日の燻し時間になるのでしょうか?松の葉や藁の大量の準備は必要ですね。

タンニン鞣しだと、鞣し液に浸けたあと、半渇きの状態でストレッチなどの作業が必要になるのですが・・・実際出来たのを様子見て、必要ならタンニンと同じ作業をする方針でいきたいですね。

(脳漿鞣しについて)

今、現存する日本最古の革は脳漿+燻煙で創られています。脳漿とは脳の周りの液体のことですが、脳漿鞣しの脳漿は脳みそ自体も含みます。必要量が1匹につき1つですので、皮と同時に基本的に入手できる素材です。

原理的には『白鞣し』の「深くない浅瀬の適度に流れが早い川」に浸けてるのと同じです。脳漿以外にも代用品はありますが、100%手に入る脳漿で問題ないかと思います。

ただ、その効果って『鞣し』というよりバクテリアを活性させて『脱毛』させることであって、それだと毛皮付きの革を目指してるこのブログだと省いていいような・・・。脳漿鞣しの脳漿だけで鞣し成功した文献見当たらないんですよね、必ず脳漿+燻煙。鱈油を使った油脂鞣しってのもあるのですが、菜種油でも代用出来そうな・・・。

さらに問題に①脳漿は臭いがキツイ②バクテリアを活性化させるため、人体に悪い影響を及ぼす可能性があります。脱毛処理をするなら、先述の白鞣しのように「深くない浅瀬の適度に流れが早い川」に張った状態で浸けて置くか、石灰液(水酸化カルシウム)の方が危険性は低いですかね。

多分、甲州印伝関連と特許関連があるのか、本当に文献が無く曖昧な感じで申し訳ないんですが、試す価値はある鞣し法だとは思います。

メリット:日本なら松の葉や藁などが後述のタンニンより容易で素材の準備がしやすい。端的に言って燻すだけでもあるので、試す分には、品質に拘らなければ、出来る可能性は高いと思う。

デメリット:甲州印伝秘伝の技のため、文献が無い。燻し時間や燻した後の皮の処理方法が無い。燻煙で鞣せるのは100%だが、他はエビデンスが無い。脳漿+燻煙の文献は多いが、鞣すだけならおそらく燻煙だけでもいけるはず・・・。必要なら菜種油を塗布などして、トライ&エラーをしたい。

 

タンニン鞣し

①は質が物凄く悪い、②は情報がやや不確定。ですので、タンニンが大量に入手可能ならば、現代でも行われる鞣し方法の一つ、タンニン鞣しを行いたいです。

タンニンは木などの成分に含まれていて、落ち葉に埋もれた水たまりの皮が柔らかくなってたのが鞣しの発見と言われています。・・・が、皮一枚鞣すには、物凄い量のタンニンが必要で、木に含まれているとはいえ、含有率の低い樹皮では必要量集めるのが困難です。

候補としては①五倍子(代用:キブシの実)。大きく含有率が下がりますが、大量に準備できるなら②チャノキ。(推奨拠点が小田原なので、放棄された茶畑が静岡にあるという前提)。皮を鞣すのに必要な量ですが、五倍子ならだいたい鞣したい皮の質量の3分の1、チャノキ(と言うより茶の粉)なら皮の質量の3倍が目安です。(五倍子はタンニン含有率60%、茶は約7%とする)

水に溶かしたタンニン液に皮を浸けて置きます。この時、低い濃度⇒高い濃度へとだんだん濃度を濃くしていくと、皮の内部までタンニンが浸透していきます。浸ける期間は数週間~数ヵ月。現代ではドラム(またはタイコ)と呼ばれる機械で廻すことでこの期間を短くしています。そのため、ずっと揉んでればこの期間が短くなるのかもしれません。

タンニンを浸け終えた皮は脱水して、半渇きの時に菜種油を一面に塗ります。

①たるまなないように皮を全面に引っ張り、何かで固定して板に張り付けて、日陰干し

または、②日陰干ししながら、その都度固くなった部分を引っ張ったり叩いたりする。

メリット:現代でも数多く行われている鞣しのために信用度が高い。上記、口鞣し・燻煙鞣しより質の良い革が出来る可能性が高い。

デメリット:①皮を鞣すために必要なタンニン量を集めるのがややハードルが高い。

②タンニン液に浸ける時間を長く擁することが多く、完成までに時間がかかる。

 

タンニン鞣しで駄目そうなら、そのまま燻煙鞣しするなり、柿渋(現状唯一の防腐・防虫・防水剤)塗って誤魔化すなりしたいですね。異世界で五倍子より使いやすいタンニンの植物、またはミョウバン・クロムを入手しやすい環境かもしれませんので、あとは向こうでトライ&エラーして欲しいです。

 

正直・・・皮⇒革は産業として成立していて、それを専門としている人たちが現世界にも居て、しかも方法が一つじゃなくてたくさんあって、正解も間違いも一つじゃないっていう難しい技術の一つです。多分、もっとこうしたほうがイイとか、この方法は間違ってるとかあるかも知れませんが、とりあえずこの内容で記載しておきます。何も知らない状態で当てずっぽうに鞣しを試みるよりかは百倍マシだと思いますので、あとはこの知識をアレンジして『革』を創り出したいものです。