異世界転生する前に

異世界転生する前に

異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

布・アンギン編み

糸・紐』『葛布』『糸を紡ぐ・紡錘車』に続く、糸を布にする方法になります。糸を繊維⇒紡ぐ方法に関しては、これらの記事を参照にしてください。

このブログでは繰り返しになりますが、最初に目指したい布は『濾過できるハンカチのような布』になります。布の服?馬鹿言っちゃいけません、1着1年以上かかります。最初の冬を越す服、日常的に着る服は、基本動物の皮から創る革になります。

布の作り方ですが、アニメのドクターストーンを参照した上記の図が分かりやすいと思います。布というか織物っていろんなやり方があるんですが、凄い要約すると『縦糸と横糸を交互に重ねた物』です。この基本が分かってれば、これ以降の織物の道具もやってることは変わらないので理解が進むと思います。

上図では分かりやすく縦糸を緑(本来は肌色か白っぽい)で色付けていますが、こういう枠の木に切れ込みを入れて、②のように↓→↑→↓と糸を張ります。

理論上は短い糸を一本一本張っても良いんですが、糸を作ったり保管する際に長い一本の糸の方が管理・利用がしやすいこと、1本1本張る方が面倒なので、角に引っかけて張った方が楽ってことで↓→↑の動きになっています。

上の木の枠、ここまできっちり作れなくても大丈夫ですし、釘が無くても『松脂』は木材に対して強力な接着剤になるので、過去の文明でも作成可能だと思います。もし創るのが面倒・難しい場合は、木の棒を地面に埋めて固定して、木に切れ込みを入れて↓→↑の部分を創れば問題ありません。その場合は上と下に木の棒を何本か並べる形になりますね。

 

で、縦糸が張れたら、その隙間を横糸で①のように上下上下と波縫いしていけば、布になります。いや、これ文章だと一文で簡単なんですけど、かなり大変です。濾過用の布なら、なんとか創れるだろうと思いますが、気球用の布を創れって言われたら、作業量の多さに泣くと思います。とは言え、難しい作業では無く素材が集まれば、割とどの時代・文明・状況でも布が創れる技術にはなります。

『濾過用の布』の利用方法で端的に思いつくのは、『塩作り』ですね。海水を沸騰させると、最初塩ではなく不純物(硫酸カルシウム・石膏)が出てくるので、それを濾過するのと、最後に塩とにがりの分離が出来ます。また、水の浄化にも『布』があると確実ですね。その両方とも無くても精度は落ちますが、出来なくはないのですが、布があった方が楽ですね。

アンギン編み

古代の布の製法の一つに『アンギン編み』と呼ばれるものがあります。『簾』を創るのと同じ方法なんですが、通気性が高くなりやすく(気球の布や、濾過の布には向かない)、今でも理論上は変わらない先ほどの製法の方が優秀ですが、『簾』を作る際に使用すること、0よりかは何かしらの布を創れた方がマシで知識があるのに越したことは無いので紹介しておきます。

(※アンギン編みと一言に言っても、いろんな織り方があります。このブログではアンギン編みの布を創ることより、『簾』を作る技法として紹介します。ブログ主が実際見たのも簾の作成ですので)

 

木や蔓を使って上図のような道具を作ります。現在アンギン編みをする場合には自立式のもっときっちりした物を使用しますが、二本の棒をクロス(安定しなかったら3本にしたり、足を地面に埋めて固定)して、その上で木の板を設置します(ズレるようなら、棒と木の板を蔓などで固定)。

木の板の側面に切れ目を入れ(上図では分かりやすく上方向に切れ目を入れているが、別に横でも可)、そこに縦糸をひっかけ、その両端に重し(コモヅキと呼ばれる)をつけます。重しはウヅキなどが使われていたそうですが、紐が引っかけられて重しになるものなら何でも構いません。縦糸の長さは、作りたいものの約3倍ぐらいの長さが目安。上図では一つしか付けてませんが、ちゃんとした布を創るなら30~60本くらい必要になります。縦糸の長さは均等に揃えます。

上図の木の板の上に横糸を真っすぐ乗せ、手前の重しを左斜め奥・奥の重しを手間の右前に移動させます。それをかけた縦糸全てて行います。そうしたら、横糸を1本目の上に乗るように折り返して、再度縦糸の重しを前後に交差・・・・を繰り返します。横糸を下にずらしながら編んで行き、編み終わったら紐を結び、残りの部分を切ります。

(編み方によっては、一列目1・3・5・7、2列目2・4・6・8みたく飛び飛びで編むやり方もあるが、一応ここでは『簾』と同じ編み方を紹介。縦糸の本数は多いと通気性の少ない布になり、少ないと簾のようなスカスカな布になる)

 

簾は紙(和紙)に使いたい道具です。また、寿司を握る際や、直射日光を遮る簾など造れれば役に立つ道具の一つだと思います。アンギン編みの道具や編み方よりも、竹ひごを綺麗に真っすぐ作る方が難関(素材は竹なので入手は容易)ですが、序盤の文明でも職人の技術さえあれば創れる道具にはなります。

 

 

布の織り方、二つ紹介しましたが、文章で伝わりましたでしょうか?このブログの意義が問われますが、正直編み方とか編み物に関しては、文章にすると余計にごちゃごちゃするって感じです。伝統工芸で簾の作り方を、実際に見ると、同じこと繰り返してるだけでそこまで難しく無いんだなって分かるんですけど、アンギン編みの文献読んでも「???」(織り方が新潟方面の難しい織り方なのもあったけど)って感じでした。理論上は、糸さえあれば、序盤のチートアイテム『網』と強度が不安ですがハンモックなども作成可能ですが、自分が覚えたら紹介します。

あと、原始時代にも『織機(原始機・腰機)』ありました。千葉県にある『国立民族歴史博物館』だと原始時代の生活のジオラマありますが、そこでも女性が織ってますね。これが今の織機にかなり構造が近いです。『縦糸と横糸を交互に交差させる』って言う基本が分かってれば、なるほどねってなる仕組みだと思います。

原始時代や中世時代にタイムスリップして現代知識で無双する小説、多々ありますが、原始人も中世人もアホでは無いと思います。自分の見える世界で、手に入る素材で、どうやったら楽出来るか?効率的に出来るか?どう利用出来るか?をトライ&エラーしてたように感じます。そこのところは間違えちゃいけないような気がします。