異世界転生する前に

異世界転生する前に

異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

鹿の角、膠

熊はともかく、鹿や猪は落とし穴での捕獲が可能だと思っています。現実に原始時代~縄文時代の村の集落には無数の落とし穴が設置されていたこともあり、効果が見込める罠の一つだったと考えています。

鹿の角

農業を始めれば嫌でも害獣として鹿と対峙する羽目になり、畑を餌に向こうから落とし穴に嵌めることも可能っぽい(実際、古代の集落は村の外や畑近辺に配置)なのですが、農業開始前は鹿を呼びこむ餌が無いかもしれません。

ただ、鹿の角は実は1年間に一回春先に生え変わります。それは、山の中に落ちてる(秩父とかにもある)ので、狩猟をしなくても入手可能と鹿が山に居る状態なら入手が容易の可能性があります。鹿の角は利用価値があるので一本は入手したいところです。

 

鹿の角なんか採集して何に利用するか?なんですが、鹿の角実物を持ったことがあるのですが、重さの割にはかなり硬度があります。(前述の落ちている鹿の角は、時間が経つと微生物に解体されたりするので、基本狩猟して獲る方が堅い)

原始時代の黒曜石のナイフの作成には、基本この鹿の角が使われています。鹿の角で黒曜石を研磨して、ナイフの様に尖らせる作業です。

また、これから採光を得て、鉱山に入らなければならないのですが、つるはし(鉄が無い)の代わりの第一候補がこの鹿の角になります。(もちろん、鉄に比べて強度は大きく劣る可能性が高く、第二候補は石のハンマー。ただし、石のハンマーは持ち運びが容易で無く、石より先に柄が壊れそう)一応、最古の鉱業のつるはしはエゾシカの角ってことが文献にあります。マインクラフトなどのゲームの鹿の角のピッケルは、一応理に適ってはいます。

狩猟の落とし穴を掘る際のスコップ替わりや、土器を創る粘土を採集する際にも使えます。石でも可能ですが、素手の10倍あると楽ですね。

縄文時代の展示の定番の『釣り針』やモリなどの漁業道具の鉄の代用品にもなります。・・・鹿の角の硬度が堅いのにどうやって細工するんだ?って話なんですが、鹿の角は2日ほど水に浸けておくと少し柔らかくなります。(鹿の角は人間の手などど同じ物質で形成されており、お風呂で手がふやけるのと同義)あとは、黒曜石のナイフやチャートの石の石器で『頑張れば』加工出来ます。(だいたい一日レベルで作業が必要)

※追記 鹿の角というより骨全般になりますが、漁業の貝を剥す「アワビおこし」、網を縫うのに使う網針なども骨から作成されていたようです。

膠(にかわ)

鹿の角(鹿の骨)があれば『膠』を作成することが、理論上可能になります。

『膠』ってなんじゃらほい?って方も多いと思いますが、『ゼラチン』『コラーゲン』とかとイコールと思ってくれれば良いと思います。素材も作り方も同じなんですが、成分を物凄い綺麗に抽出した高精度のものが『ゼラチン』、不純物混じりまくってるのが『膠』と思ってくれれば良いと思います。料理する人なら「煮こごり」の方が身近に感じるかもしれません。

 

作り方は、牛・豚・魚の骨や皮を加熱して抽出。熱を通しやすくするために、粉々の粉状にするのが望ましい・・・鹿の角を粉々にするなんて出来るか!って話なんですが、石灰水に浸けると余分な成分が除去され柔らかくなるので、あとは頑張って上手く細かく切ってください、としか。少し猟奇的ですが、山で他の骨も入手可能かもしれませんので、膠を創る際には入手しに行ってもいいかもしれません。骨よりも皮の方が、成分を抽出しやすいみたいですが、皮は鞣して革にするのを優先したいです。

細かくした骨を加熱する際なんですが、膠は60℃前後で溶けだし、あまり高温で沸騰させると成分が変形してしまいます。(お菓子作りのゼラチン使ってる人の方が詳しいかも)なんで、膠を抽出する際は70~90℃ぐらいまでの間で沸騰させないようにお湯で加熱するのが望ましいです。直火だと温度調整が難しいため湯煎を推奨、だいたい2時間~3時間程度。骨や皮を濾過して取り除き、自然冷却すれば『膠』になります。

注意点は、鹿の角細工もそうなんですが、物凄い臭いがするのと、タンパク質ですので夏場はすぐ腐ります。膠は抽出しにくいため、同じ皮だと2番汁や3番汁も獲れることを覚えておくと良いと思います。

 

膠は不純物が混じるので食用では無い(一応、鹿の角の膠は漢方ではあるのですが)のでゼリーとか作るのには使用しないと思います。主な用途は、煤と混ぜて作る『墨』と木工用の接着剤ですかね。(他にもあるから後で追加するかも)

膠の接着剤は、木の接着剤として古代から使われています。今でもバイオリンなどに利用されています。特筆すべきは、先ほどの通り60℃以上に温めれば溶かせるので、他の接着剤と比べて修理が容易な点です。欠点は、逆に高温になると溶けてしまうので外の日当たりのいい場所などの接着に向かないこと、また水にも強くなく常時水に浸かってる場所だと接着力がなくなります。

使用する場合は木面の両方に薄く膠を塗り、一晩寝かすと強力な接着能力が出ます。(現代のは他の物質により即効性があります)木面以外にはあまり効果がありませんが、以前接着剤の代用とした松脂(まつやに)・天然アスファルトより木だけなら優秀な接着剤なので、これから木の道具を確実に創るので覚えておいて損は無いかと思います。

 

現実的には『墨』などを創る際に利用するのが一番の用途かもしれません。今現在の日本の世界でも墨の作成に使われる用途が一番高いですし、自分も本好きの下剋上に影響を受けて紙関連のインク関連で『膠』を知り始めたくらいですし・・・。

ただ、原作でも名言されてましたが、膠や墨は高温に弱く保管が大変なこと。固形墨なら保存は問題ないが、使うのがいちいち大変なこと考えると、乾性油+煤のインクの方が紙の質にもよりますが現実的ですね。荏胡麻油とかなら入手可能っぽいですし、松の木の煤も入手出来ますし。

状況によっては『墨』が欲しくなる状況もあるかもしれませんし、これからいろいろ進めていくうえで『膠』の性質を利用する機会もあるかもしれません。あんまり利用すること無さそうな骨で創れる点も、資源を利用できる感じがして評価したいですね。創るのはともかく素材を容易に入手できるのは、再現度が高そうです。