異世界転生する前に

異世界転生する前に

異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

トチノキ・ヌルデ(五倍子)

前回、ハシバミを紹介した際に、同じ縄文時代の主食の『トチノキ(栃の実)』が気になりました。ホントに異世界転生じゃなくて、縄文時代考察になりつつありますが、『衣食住』を揃えるという点で、博物館の縄文時代の姿は、初期の理想。衣食住揃えばあとは村を発展させるなり、科学を進歩させるなりすればいいので、まずはソコを目指していきます。

トチノキ

ムクロジトチノキ属の落葉広葉樹。温暖な平野部では育ちにくく、沢沿いや谷沿いなどの湿った土地。二つの沢が合流する平坦な土地に生えやすい。葉が掌のような掌状複葉で、葉の外側に鋸歯があり。葉が5~7枚で七葉樹とも呼ばれる。

・・・と言われてもいつものように見分けが付かないので、上の写真の様に『クリスマスツリーみたいな白い花』が5~6月に咲くのが特徴。木材にもなるけど、自分たちが使いたい実は10~11月頃に落下してきます。15m以上もある高い木なので、落ちるのを待つのが適切かと思います。

 

トチノミは、生食が出来ず、アクが他の食べ物と比べても非常に強く、アク抜きに時間がかかります。基本手順は以前に行ったどんぐりと似たようなモノです。

①トチノミを集め、殻をむき水に浸ける。浮いて来たものは虫食いのため弾く。数日間、水に浸けておく(俗にいう虫殺し)。

②数日間~1カ月前後、天日干しする。

③加熱し皮を剥く。

④網や袋などに入れ流水に7日~10日前後浸ける。

⑤木灰を混ぜた熱湯に実を混ぜる(トチノミはアクが非常に強いため、木灰の割合を多めに。実の質量の2倍程度が目安。後はトライ&エラーで。)

⑥灰を洗い流して水洗いして完成。

トチノミが縄文時代の主食と言われるのは、トチノキさえあればどんぐりより収穫量が高く、カロリーが高かったから。どんぐりと同じ用法で保存も可能。

※ちなみに縄文時代の食べ物で有名な『ブナ』は豊凶があるため、主食足りえず。このブログでも食料としては割愛するつもりです。

 

このトチノキムクロジ科なため、以前紹介したムクロジのように実を細かくして水に浸けて一日程度経つと、水にサポニンが溶けて石鹸水・洗剤(弱)の代用品になります。発酵しやすいので、使用の前に併せて作ると良いかもしれません。

ヌルデ(五倍子)

ウルシ科ヌルデ属の落葉小高木。羽状複葉(とんぼの羽みたいな葉の形)。二次林や近所の空き地、道路の脇などにも生える5~6mほどのパイオニアツリー(樹木が生えていない土地に最初に生えてくる木)。

見分け方は、上の写真だと分かりにくいのですが、葉と葉の間の軸に翼(よく)と呼ばれる緑色の葉の胴体みたいなのが付いてます。・・・翼って言う言葉が厨二に引っかかって「ドラゴンフライ」とか「フライゴン」とかで覚えれば良いと思います。

 

ウルシ科ですので、幹や枝から白い樹液が出たり、ウルシかぶれしたり、10月~11月ごろ成る実にリンゴ酸カルシウムの塩っ気を感じるとかありますが、この木で一番利用したいのは五倍子です。

これは、ヌルデの近くに「オオバチョウチンゴケ(湿地によく生息)」がある場合、ヌルデの葉にアブラムシが寄生し、4月~9月前後に「虫こぶ」をつくります。この虫こぶを湯通しまたは蒸して、中のアブラムシを殺し、乾燥させたものを五倍子(ごばいし・ふし)と言います。

この五倍子にはタンニンがだいたい60%ほど含まれており、この五倍子と錆びた鉄分などを溶かした水に混ぜるとお歯黒になります(代用品としてはキブシの実)。なお、この鉄+タンニンは『没食子インク』も同じ作り方になります。

ですが、今作りたいのは『お歯黒』でも『インク』でもありません。タンニンと聞いて、パッと思いつけば狩猟の知識がありますね。この五倍子のタンニンは、皮を革にする『タンニン鞣し』が可能な量を獲れます。

 

 

ずっと疑問に思ってたことがあって、タンニンって樹皮に含まれるなら、適当な樹皮でも鞣しが可能?よくお茶とかにもタンニンって聞くけど、それだったら日本はなんで茶で鞣さなかったの?

A タンニンの獲れる量が少ない・足りないから

一応、理論上は樹皮を集めたものも、お茶からのタンニンからも鞣しは可能。ただし、大量にタンニンを集められれば。この五倍子粉は60~70%のタンニンを含みますが、それでも一つとかでは鞣せずにある程度の数を集める必要があります。

それをお茶(タンニン約8%)とか樹皮(モノによるがそれ以下とする)から集めようとしたら?まぁ・・・お茶に関しては一枚の革にするより、お茶として売った方が100倍利益出そうですし、買う方もそんな大量のお茶よりミモザ(現代のタンニンの原料・タンニン分60%)購入したほうが楽でしょうね。

ただ、一応凄まじい量が必要とは言え、お茶でも出来なくは無いってこと覚えておくと使う場面が無きにしも非ずなので、覚えておくといいかもしれません。