※このブログでは、異世界転生後や無人島のサバイバル、世界文明崩壊後の世界など現法の無い世界で生き残る手段として採集を紹介しています。現日本などでは『漁業権』などが定められており、現世界で行うと法律違反になる場合があります。
海苔
サバイバル系の漫画・小説見た時に、『海苔』って出てこないと思うのですが、「岩ノリとかあるから、ありそうなのでは?」って思いませんか?
出てこない最大の理由は、海苔がある(正しくは海苔の形状になっている)のは、秋~冬(初春まで)のため、サバイバル=夏前後と非常に相性が悪いです。冬スタートのサバイバルとか、その時点でほぼ詰みですし。
2つ目に、サバイバルなら労力に合いません。冬の寒い海に入る事自体アレなのですが、それでも海に行くなら、漁業を頑張るか、カメノテ・フジツボ やヒザラガイ・ヤドカリなどを獲った方が効率が良いと思われます。(当然、魚や貝なども夏などに比べると非常に難易度が上がるのですが、それでも)
冬~初春までの間なら、食べられるかは別にして、テトラポットとかに大量に岩ノリがくっ付いてる場所が多いと思います。浅瀬とかの岩にも大量に生えてるの見たことある気がします。
(※言うまでもありませんが、波打ち際のテトラポットは非常に危険です。冬にそんな場所で、採集とか海近い田舎の自分でも絶対にやりません。また、引き潮や海苔の上は非常に滑りやすく、転倒の怖れ大。
現代だと、排水の関係で安全に食べられないと思いますので、あくまで文明崩壊後の綺麗な海を仮定。)
岩に引っ付いてるので、道具を使ってそれを頑張って集めます。フジツボみたいに滅茶苦茶しっかり付いてる訳では無いので、石でも最悪手でも採れることは獲れると思います。
(緑色が『アオサ』、黒色が『海苔』の可能性が高い。アオサは、アオサで食べられるが。時期を外れた海苔は緑色に変化。)
① 採集した海苔をよく水で洗う。この時、砂やゴミを取り除く。尚、海岸に落ちてる海苔は、落とすのが非常に大変なため、岩ノリ推奨。
(※この状態を『生海苔』。これを醤油・砂糖・みりんなどで煮込むと『佃煮』)
②①を微塵切りして細かくする。水をある程度足す。
③②を『紙漉き』の要領で、簾の上に四角形に流し込む。
(※容量によっては簾の上に直接四角形を創るでも可。1枚、2枚ならこっちの方が容易)
④③を簾に付けたまま、水を切る。(簾で挟んでプレスする場合も有)そのまま、天日干。乾くと、音が鳴るので、なったら裏返しに、合計4時間~半日程度。雨天など注意。
(※簾のまま天日干しにするため、簾が枚数分必要。特に産業にするなら大量に簾を用意する必要性有)
(※海苔の賞味期限・消費期限は長いが、湿気で品質が変質する。そのため、昔はさらに『ほいろ』と呼ばれる容器で炭団などで火でより乾燥(火入れ)した後、箱で密封)
海苔の産業化
①事前に海苔を育てる縄や木・竹(木ヒビ・竹ヒビ・網ヒビ)を作っておく。網の素材は『シュロ』。植物園とか公園とかに生えてる毛がわちゃわちゃしてる木。シュロは、たわしが作れたり、竹を縛って柵に出来たりします。
②現代では種を蠣(カキ)の中に入れて養殖していますが、古代では『種のある場所(ありそうな場所)』に、①を浸けて、胞子を事前に付けておく。参考までに大森(浅草海苔)だと木更津の千葉沿岸。
③海苔は波がおだやかで遠浅な海が適しています。そこに9月ごろ、②を固定しておく。木・竹の場合は、地面に長い棒で穴を開けてそこに埋める。網の場合は、木・竹に括り付ける。
④12月~2月頃まで、その網(木)に着いた海苔を主に素手で回収する。冬の海なので、非常に厳しい作業になること注意。集めた後は、上記。
(※当然ながら、現在では回収する機械があります。あくまで古代想定)
天干しに1枚1枚『簾』が必要だったり、紙漉きの道具が基本必要になるのですが、逆を言えば『紙』の産業が発展していれば、それを応用して『海苔』の産業を行うことも可能です。
1枚1枚作るのは、かなりの労力なのですが、海苔の産業としては、漁業よりかは安定してる可能性もあります。(不作とか赤潮などは当然ありますが)江戸時代で、専売・特権が与えられてた位ですし。
紙づくりが、現代チートの1つですので、それの派生と考えたら、面白いかとは思います。ただ、それが出来るのは基本『日本(もしくは韓国・中国)』だけですね。また、『波が荒い』と海苔の養殖に不適らしく、産地はほとんど東側及び韓国近郊で、秋田とか新潟とかは難しいみたいです。(佐渡とかでも一部取れますが)
外国だと一応イギリスとかでは生海苔のような物が食べられるみたいですが、基本需要が無いですね。麦やパンが主食で、海苔は合わなさそう。また、水温・波・地形・水の綺麗さなどで、欧州で生育できるか不明ですので、ナーロッパの場合は、ちょっと利用しにくいかも。それで金になる産業になるなら、今やっていない理由が無いですし。