現代人の自分たちにとっては、甘み=ほぼ砂糖なんですが、砂糖(サトウキビ・てんさい・含蜜糖)の記事内でも述べてるように、日本だとサトウキビは沖縄、てん菜は北海道と、このブログの神奈川だとやや入手が厳しい状況にあります。また、蜂蜜って手もあるのですが、こちらも数・入手は限られます。
では、古代日本で入手しやすい『甘み』は?と聞かれれば、『水飴』をあげます。砂糖水を使ったべっこう飴もあるのですが、そのためここでは砂糖不使用の水あめを取り上げます。よく昔話でお寺の和尚が隠れて舐めてる物で、戦後の日本でも甘味として重宝していました。
水飴(水あめ)
砂糖を使わない水飴の材料なのですが、『アミラーゼ』と『でんぷん』があれば一応なんでも出来ます。現代でちゃんとつくるなら『麦芽』と『もち米』になりますが、でんぷん多めなら何でもいいので、じゃがいも・さつまいものイモ類も良く使われます。
①『大麦』から『麦芽』をつくる。収穫後2~3か月後の大麦を水に2~3日間浸ける。その後、一定温度(寒すぎず・暑すぎず)の場所で数日置くと発芽してくる。
②①からゴミと根(麦芽を掌で擦り合わせる)を取り除き、すりつぶして粉状にする。すぐ使わない場合は、乾燥させる場合もアリ。
③さつまいも・じゃがいもの皮や芽を取り除き、1時間ほど蒸す。その後、すり鉢などで潰しておく。この際、少量のお湯を入れて『おかゆ状』にしておく。
(もち米の場合も炊いて、ほぼ同様)
④『おかゆ』が60~70℃(酵母が働く温度)なのを確認して、③に②の麦芽をいもの5%程度入れる。
⑤その温度を保ちながら、5~8時間ほど置いておく。
⑥⑤をざるや布などで濾す。濾した液体を、弱火でアクを取り除きながら、粘りが出るまで煮る。焦げやすいので注意。
ポイントの1つが、でんぷんなら何でも良い事(品質保証するなら別ですが、作るだけなら)。そのため、例えばさつまいものクズいも(小さいとか傷付いてるとか、現代なら出荷出来ない物)からでも作れます。
普通に芋を蒸かすなら、そのまま喰いたいのは、それはそう。そのため、米も現代ではちゃんとしたもち米を使うことが多いですが、古代ではくず米などを利用していました。廃棄部分を使って作れるなら、非常にコスパが良いですね。
なお、麦芽の代わりに『だいこん』、『発芽玄米』でも代用可能です。麦芽に比べて大きく劣りますが。尚、『水あめ』自体が他のお菓子などの素材になってる場合もアリ、堅い飴を作るには砂糖や片栗粉などを混ぜて作る方法がありますが、このブログでは割愛。
また、原材料に対して作れる量は、濃縮されてるのでかなり少なくなる点には注意。だいたい原材料の10分の1cc位を目安に。お師匠様の秘蔵品ですし。
日本だと平安時代位には『薬・貴重品』として重宝されており、庶民には江戸時代位に根付いたとされています。戦国時代のコンペイトウのエピソードの通り、砂糖菓子とは甘さが違い、現代人的には甘さが足りない・舌に合わない可能性もありますが、かなり入手しやすい甘味なのは間違いありません。
なんで、チートって感じでは無いのですが、0から始める場合、砂糖・蜂蜜以外の甘味としては、面白いと思っています。
あと、麦芽だとビール を想い出すのですが、これアミラーゼ混ぜる以外は、『麦汁作り』に限りなく近いというか一緒ですね。一般庶民は玄米だと思うのですが、有名どころだと大麦が使われていたらしく、これでビールが普及しなかったのが、なんかちょっと面白いなって感じます。