なんでもお金で買える現代世界と違って、もしも『欲しい物』があるのなら、異世界・古代文明では、基本自分でなんとか入手せざるを得ません。
現代でも人気があって、欲しい人が多そうなのが『チョコレート』なんですが、先に結論から書くと、『日本・中世ヨーロッパで、チョコレート(カカオの育成)は無理です』。
『カカオ』を出したい人も居るでしょうが、南米辺りから『輸入品』以外の入手法は、かなり難しいと思います。日本・中世ヨーロッパの気候では、カカオの木の育成は難しいと、覚えておいて欲しいです。
(「嘘乙、熱帯園とかで『カカオ』定番だぞ」って話なんですが、確かにビニールハウスや、魔法などでカカオの生育に適した環境を作れば、不可能ではないんですが、電気代・手間暇考えたら、『それに適した気候』の地域には歯が立たないと思います)
カカオ
カカオの生育に適した環境は、『最低温度20℃以上』『高温高湿』『直射日光・乾燥に弱い』。『カカオベルト』と呼ばれる、赤道の南北20度の範囲で生育されます。日本だと「沖縄」を彷彿させますが、四季のある日本では、沖縄でも難しいとされています。
国でいうと、『コートジボワール』『ガーナ』『コロンビア』『ブラジル』『ペルー』など南アフリカ・南米中心。日本の近くだと、『インドネシア』、一応『インド』でも生育されてます。輸入狙うならその辺りになるかと。
上の写真が、カカオポッドの中身なんですが、この白い綿を取り除くと種が出てくるので、それを30~35度の気温で生育すると発芽し、うまく育てると花や実が3年~数年後に出来ます。ただし、1度収穫出来るようになると、長期間収穫することが可能です。花から実になるのは、1~2%程度。
カカオポットは熟すと色が変わるので、オレンジ・黄色・赤褐色になったら収穫します。この際に、樹を傷つけると実が付かなくなるので注意。また、果皮を包丁・鉈などで開けると、ケガする恐れがあるので、棒で叩いて割る方法を推奨。
(使わないカカオの果皮は、肥料として再利用)
収穫後、白い果肉ごと取り出し、すぐに『発酵・乾燥』作業に入ります。現代で作られてる物は、『自然酵母』由来で、最初の2日間は、バナナの葉や木の箱(この箱に前回の酵母が残っている)に入れて空気を通りにくくし、3日目以降かき混ぜて空気が周るようにして『5日間程度』発酵させます。
(※ブログ主は、『自然酵母・天然酵母』に不信感があるため、また現代で、もし試したい場合は、『ドライイースト』など酵母菌を足す方が確実かと思われます)
発酵させたら、今度は『天日干し』にして、1週間程度乾燥させます。雨天の多い場所での生育になるので、いつでも何かで覆えるように注意。7~8%程度の水分になるのが理想で、あまり乾燥させすぎると脆くなり、させないとカビが生えます。乾燥食品のため、輸入・輸出など長期間日持ちするようになります。
これで『カカオ豆』の完成になります。この状態なら、たま~に市販されてることあったような無かったような。
カカオ豆⇒チョコレート
説明する前に凄く大事なことなんですが、『市販のチョコレートは基本作れません』。アレは、いろんな技術と研鑽されたモノであり、『100%カカオチョコレート(種類的にはダークチョコレート)のみです』。
また、カカオから『ココアは難しい』。ホットチョコレートもどきが限界です。ホットチョコレートと、ココアの定義が微妙ではあるのですが。
①カカオ豆を良く洗う。・・・出荷などで汚れてる可能性が非常に高いので、まずはよく洗った方が無難。
②カカオ豆を焙煎する(火で炒める)・・・現代なら『オーブントースター』が楽。焦げないように弱火で15分程度。
③カカオ豆の殻を割る・・・1個1個手作業になると思われます。このカカオ豆の皮『カカオハスク』と呼ばれていて、お茶にすると美味しいらしい。なお、肥料として利用するのも一般的。
④カカオ豆を砕く・・・棒などで叩いて細かく砕きます。この状態を『カカオニブ』というみたいです。現代『ミキサー』を使うのを推奨したいのですが、下手なミキサーだと、ミキサー自体が壊れる可能性があるので注意。
⑤カカオを擦る・・・④を『湯煎』で40℃のお湯に付けて温め、すり鉢などで擦り続けます。擦る⇒湯煎⇒擦る・・・を延々と繰り返すと、油脂が分離します。ちなみに所要時間ですが、2時間、3時間、4時間、10時間、24時間と、バラツキがあります。自分が満足するまで擦れば良いと思います。手作りだと、基本口触りは悪いです。好みの柔らかさになったら、砂糖を混ぜて再度擦る。
⑥⑤を何かしらで、冷蔵して固めれば、チョコレート(ダークチョコレート)の完成です。
補足・考察
「なんで市販と違う?」に関しては、いろんな技術が加えられてる点以外に『ココアバター』が加わっています。
このココアバターは、カカオに含まれる油脂で、上の④or⑤に『強い圧力(1トン以上とか)』を加えて絞り出してろ過すれば抽出出来ます。が、文献だとデカい柱に数人で圧力かけてましたが、製鉄でも村人居ないと無理ですが、ココアバター作るための人出はどうなんだろう?しかも、24時間位かけ続ける必要があるとかないとか?
ちなみに、この『ココアバター』を抜いた残りが、自分たちの良く知る『ココア』になります。チョコレートの始まりは、カカオを擦りつぶしてお湯で飲んでたらしいのですが、口に残る感じなのと、滋養品が近いらしいです。なんで、繰り返しますが、『カカオ⇒ココア』は容易ではありません。
仮にココアバター使っても、『アルカリ処理』(炭酸ナトリウム・炭酸カリウム)・『コンチング』『テンパリング』と工程があり、市販のチョコレートの工程の多さに頭が下がります。一応いろいろ準備できる『現代』なら真に迫れるかもしれませんが、このブログ『古代文明』なのと、このブログでの現況では、基本輸入の『カカオ』の利用、それを砕いて擦った『チョコレート』の利用が限界だと思われます。