正直、農業系でなろう・知識チートで擦られまくってて、わざわざ取り上げる必要も無さそうなんですが、このブログでも改めて紹介。異世界・古代文明・タイムスリップで最初にやらなくてはならないのは、『農業』関連だと思いますので、化学とかよりも、使う機会が多いかもしれません。
塩水選法
特に『日本』なんですけど、発芽率の高いもみ殻(主に稲、米)を見分ける方法に『塩水選法』と言う方法があります。
①もみ殻のひげを除去する。
②塩水(比重1.3、具体的には水10リットルに塩2.1キログラム)を用意する。
(※現代だと生卵の頭が出る位が目安らしいですが、『生卵』入手が難しいかもしれない、このブログでは数字採用。なんか、舌で舐めて比重確認してらっしゃるプロの方も居ました)
③その塩水にもみ殻を入れると、浮く物と沈む物に分かれるので、浮く物を除去。沈んだ物を種籾に使う。ちなみに、種籾としては不適なだけで、食用は出来ます。
(補足 比重とか異世界まで覚えてられないって方は、逆に塩水を薄くする方法を推奨。
①かなり濃い塩水をつくる。そこに種籾を入れると全て浮く。
②水を少しずつ足して薄める。すると、いくつか落ちるので、それは除去する。逆に重すぎて不適なため。
③水を足していくと一斉に落ち始める瞬間があるので、半分くらいまで落とし、落とした方を種籾に利用)
④塩水が付いたままだと、逆に発育不良になるため、水で塩水を洗い流す。そのため、適当では無く良く洗うこと。
⑤8時間程度乾燥させて、水気を取る。
※現代だとさらに『消毒』『浸種』『催芽』してから撒く場合多し。消毒・浸種は、温度調整などをきっちりしないと逆効果になるため、参考程度に。
『温湯消毒』
①『塩水選』した種籾を、60~65℃の範囲内のお湯(微妙な温度によって差異があるみたいですが、ここでは割愛)に10~15分程度浸けます。回収しやすいようにそのままお湯に浸けると言うより、袋などに入れて間接的に温める場合多し。
(※塩水選後、濡れたまま1時間以内に消毒すると効果高い・・・みたいな話もあり、水分乾燥させない種籾を使うと逆に発芽率が悪くなるみたいな話もあり)
②①の湯煎が終わり次第、すぐに冷水に浸けて5分間急速冷却する。
『浸種』
①温湯消毒した種籾を10~15℃の水を入れたバケツ(できれば水槽)などの容器に浸ける。
②①の温度が合計100℃になるまで(例10℃×10日)まで浸す。
③酸欠にならないように、大きな容器・隙間を十分に取り、種籾を取り出し、空気に触れるなどの手入れをする。
『催芽』
①主に『浸種』した種籾を、さらに28℃~30℃のお湯で12~20時間ほど浸ける。
(※正確には、時間と言うより『ハトムネ』と呼ばれる少しだけ芽が出ている状態が理想)
②①を冷水に2時間ほど浸けて『芽止め』をする。
③②を脱水(現代では遠心分離機・脱水機などを利用するが、このブログでは水切り)し、種を撒く日まで、日陰で陰干し。
※塩水選法は、確実+かなり効果のある方法なのですが、それ以外は種類ややり方によって良し悪しがある場合がある。微妙な温度とか、日数とか数字とかがそれぞれ違うので、基本的には向こうで研鑽しつつ。『答え』があるなら、農業革命出来るレベルなので、どれが合ってるって話では無いと思います。一応、改めて注意喚起。
注意喚起しましたが、塩水をちゃんと水で除去しないと逆効果で、「大事な『種籾』を塩水に浸けるなんて、馬鹿じゃないの?」も一理あるため、強権を持ってるか、信頼関係を築いてないとやらせるのは難しいかもしれません。
正条植え
現代の水田の稲を見ると、綺麗に等間隔に苗が植えられてると思うのですが、アレです。その前までは、ソバのように種をばら撒いて植えていたのを改良しています。
正条植えの注意点なんですが、『正常植え=収穫量が直接増える』って訳ではありません。
端的に言うと、一番の効能は雑草が駆除しやすい(苗と苗の間は全て雑草、さらに真っすぐ全部雑草)。なんで、『田内転がし』『田内車』(作れそうになかったら『除草下駄』、下駄の裏に鉄の線を張って除草する道具)などの直線で雑草を駆除出来る道具が、セットで無いと効果がやや薄いです。
①種を直接田んぼに撒くのではなく、苗になるまで育てる。
②①を15~20センチの等間隔で植えていく。
と、文章で言うだけなら簡単なんですが、『どうやって等間隔に真っすぐ植えるか?』が大問題で、農家から「やってられるか」ってなるのも当然の反応。
初期だと縄とかでやってたみたいですが、『田植定規』(水田に四角形の印をつける道具)があると、まだ楽。有名なのは、六角形のくるくる回しながら模様をつけられる物ですが、作れそうもなかったら平面タイプ(上の写真参照)でも可。
塩水選を広めた方の、『現場が一番知ってる(要約)』みたいな台詞が有名ですが、真理だと思います。ぽっと出の自分たちより、ずっと農作業してきた方の方が、その土地のことをよく知ってるはず。足りないのは『知識』だけで、村や農民を任される場合は、上手く聞き出してどんな感じが情報を得て、改善出来るならしたい所ですね。
農業系のチートがあまり無い理由は、1つは気候・作物などによって条件が変わり、必ずしも有用と言えないこと。2つ目に、知識チート記載者が門外漢なこと。家庭菜園位はあるでしょうが、稲作やってる人は少ないかと。3つ目に、資料がとんでもなく少ない。
昔の道具自体は、郷土博物館にでも行けばいくらでもあるのですが、『塩水選法』の方法だと、自分が知る限り『現代知識チートマニュアル』が一番詳しい位。東京農業大学の『「食と農」の博物館』の横井時敬のコーナーで見かけた位ですかね。