異世界転生する前に

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異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

銅の精錬(古代)

銅(酸化鉱・自然銅・孔雀石・藍銅鉱など)の入手で『銅鉱石』を入手しても、精錬しないと銅として利用できません。

銅の選鉱

銅の入手の記事で銅の品位が0.5~2%って記載したんですが、要は使わない部分(石英とか雲母とか含む)と銅を分けるのを『選鉱』って呼ぶんですが、

古代の選鉱は『人力で手動で目視で頑張って(白目)』としか言いようが無いです。いや、数パーセントの銅鉱石を集めて銅を使うのにどのくらいの量が必要なんだ?って話なんですが、工業化じゃなくて自分は文明発展に使う分だけ獲れれば良いんで(震え声)

一応『比重選鉱』って手段があるにはあるんですが・・・。要は、砂金獲る時にパンニング皿で上下に振って「重い」砂金は残って、砂は流される。「猫流し」って呼ばれる、そうめん流しみたいに鉱石を流して砂を流す手段もあります。

ただ、比重が自然銅8.9、孔雀石4.1、藍銅鉱3.8、黄銅鉱4.2、石英2.7、雲母3で、自然銅ならかなり有効なんですが、それ以外は無いよりマシくらいかと思われます。

(補足① 当ブログの技術では、坑内掘りは、排水・送風の関係で事実上不可能。そのため、『露天掘り』・もしくは洞窟に入って内部の自然道からの採掘を想定しています。

補足② 現代ではどうやってるの?って疑問に関しては、『浮遊選鉱』が使われています。説明すると、非常に長くなるんですが、気泡剤と補修剤を用意して、鉱物の疎水性を利用して、水と油の混じった溶液に入れると、岩石は水と混じって沈んで、鉱物は油が纏わりついて浮く。

ギリギリ自分でも何やってるか理解は出来るんですが、その気泡剤?と補修剤は、樟脳をさらに蒸留した樟脳油?・テレピン油(松脂の精油)・ザンセート???

エチルアルコール+苛性ソーダ・苛性カリ+二硫化炭素⇒エチルザンセート+水

ギブアップ。正直、銅に対してどんな容量用意すれば有効かも分からないし、樟脳・テレピン油は、ギリギリ作れなくも無いですが、油自体貴重品とも言える状況だときついですね。もっとシンプルな選鉱手段があれば考えたいですが、このブログの古代レベルでは、上記の選鉱でも手間はかかりますが、十分かと思います。

酸化銅に関しては、弱硫酸で数ヵ月銅成分溶かして、電気分解して回収する方法も現代使われている手法の一つ。)

 

酸化銅の精錬

中学校の理科の実験で、同じ空間で炭素+孔雀石を熱すると、孔雀石が還元されて銅になるって実験したことあると思います。

「2ⅭuО+Ⅽ→2Ⅽu+ⅭО₂」、銅を1050℃以上に熱すれば、酸素を放出します

・・・と、ごちゃごちゃ書いてますが、凄い要約すると自然銅・酸化銅なら最初の製鉄 で使った製鉄炉と同じ施設で同じようにふいご+炭+石灰石(無くても出来るが銅以外の不純物が反応する)で、砂鉄⇒鉄にするのとまったく同じ方法で、かつ鉄よりも融点が低い状態で精錬出来ます。実際、韮山製鉄所も、鉄だと温度が足りず、精銅の利用が多かったと聞いています。

ただし、銅に関しては『鍛造』では無く『鋳造』でどろどろに溶かすのを主とするため、石の容器か何かに集めるようにするのがベストかと思われます。

溶けた銅を、鋳型(古代文明だと砂型を多用、石型でも可)に流し込んで、銅製品にします。(鋳造もそんなシンプルじゃ無いんですが、ここでは割愛)

※ 留意事項

この方法で作る銅なんですが、厳密に言えば不純物が混じった『粗銅』って単語が近い。この不純物の中に「ヒ素「錫」「鉛」「亜鉛」「アンチモン」「鉄」「硫黄」「金」「銀」(一部硫化銅を含む)などが混じってる可能性が高い。上の選鉱方法からも混じる可能性、また使わない非鉱石「ズリ」の中にも有用鉱物が少量混じってると思われる。

そのため、ズリを水源に近づけない。雨などの土砂崩れで流れないようにする工夫が必要。かつ、技術レベルがあがれば、ズリからも鉱石を回収出来る可能性有。

(この「金」「銀」を水銀を使った灰吹き法で回収するのだが、ここでは割愛。逆を言えば上記の鉱物も利用できる)

 

『銅の入手』で取り上げた鎌倉大仏にも「鉛(青銅ですし)」、奈良大仏にも「鉛+ヒ素」が混じっている。(これは、銅に鉛・ヒ素を混ぜると、融解温度が下がる+出来の見栄えが良くなる?ことで意図的にも混ぜられている)

銅の錆の「緑青」は毒ではありませんが、鉛・ヒ素は「有毒」。元々、ローマの水道管も銅+鉛+錫なんですが、「鉛」の有毒性を知ってる自分達なら、口に入るリスクは避けるべきだと思います。

そう考えると、この銅だと「水道管」「鍋などの調理器具」は避けた方が無難かも。発掘品で、陶製の調理道具が出ても、銅製がほぼ無い(神具用としてなら見たことある)のは、経験則から知ってたんですかね?戦時中に大仏溶かして、鍋とかにしなかった理由が分かりますね。そうなると、銅像とか貨幣に銅を利用したのは正しいのかも。電気があれば銅線の需要がありますが、意外と利用が難しくなるかも。

(現代の銅は、99.9999%、の純銅を作っており、今現在の銅製の水道管やフライパンなどは問題無いと思われます。あくまで、自分たちが古代の技術で精製するなら混ざりそうって話)

 

硫化銅の還元

前回述べたように、処理に二酸化硫黄を排出してしまう硫化銅の利用を、このブログではあまり薦めません。しかしながら、銅鉱石で一番獲れる可能性が高いのが『黄銅鉱』になるため、止むを得ない状態用に、硫化銅の還元を記載します。

①硫化銅を含む鉱石を木炭 のように空気を奪った状態で薪と一緒に30~40日間蒸す。これは主に黄銅鉱CuFeS₂の、鉄を酸化鉄、硫黄を二酸化硫黄として除去する。酸化鉄はスラグとして排出され、二酸化硫黄は黒煙で大気中に放出されます。

②①で出来るのは、鉄・硫黄分を抜いて、酸素と結合した酸化銅(もしくはそれに近い物)ですので、上記の『酸化銅』の還元と同じように、製鉄の炉に石灰+炭+ふいごで温度を上げて溶かして銅にします。

(補足 江戸時代の銅精錬は、①の酸化銅に珪石・木炭を加え、ふいごで拭いて熱し、①を「銅鈹」(銅が多く含まれる)・「からみ」(銅を含まない)に分けます。銅鈹の方が比重が重く下に溜まるので、上のからみは破棄して、下の銅鈹を回収。

さらにその『銅鈹』を再度、珪石・木炭・ふいごで拭いて熱すると『銅』になります。要は1番吹き・2番吹きでより不純物を除去している。・・・ただ、この方法であっても銅の中の不純物は数%は残る)

 

銅の精錬のまとめ

銅鉱石の採掘は、基本「露天掘り」か洞窟の内部から採掘。選鉱法は、比重選鉱が出来なくもないが、基本的に目視+手動でかき集めざるを得ない。

酸化銅に関しては、酸化鉄の融点低いバージョンで、製鉄の炉で同じように木炭・石灰石を混ぜれば還元できる。鍛造では無く、鋳造になるため、回収の容器に注意し、砂型などに入れれば成形できる。

ただし、ヒ素・鉛などの不純物が混ざると想定され、水道管や調理器具の作成は要検討。

硫化銅に関しては、まず木から木炭作る時にように、硫化銅を薪と数十日蒸すことで、鉄と硫黄分を除去し、「酸化銅」にしてから、酸化銅の還元を行う。ただし、精錬中に亜硫酸ガスが発生するため、基本的には薦めない。