異世界転生する前に

異世界転生する前に

異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

最初の製鉄

※当ブログでは、異世界転生した際・世界が石化で文明崩壊した後の世界で使える知識を現代で覚えておこうと言う趣旨で記載しています。現代の原始時代の最初の製鉄とかの時代考証では無く、文明崩壊時に出来そうな最初の製鉄なのでご注意ください。

 

準備するもの

①砂鉄・鉄鉱石・・・天然磁石を使って採集。何十キロと必要な上に、今より遥かに磁力の低い天然磁石での採集になるので、根気と時間は必要かと思われる。

(備考:特にこの製法で行う場合には、品質の高い物=全ての砂鉄や鉄鉱石で製鉄が可能では無いという点に注意。

参考文献に鎌倉高校が『稲村ヶ崎海岸』で集めた砂鉄を30分~1時間熱湯で煮沸したことで製鉄が可能になったとある。この高校が出雲の砂鉄のほうが、鎌倉砂鉄より遥かに製鉄しやすいと記載してある。実際、製鉄の遺跡は出雲など一部の地域に集中しており、このブログの拠点の『小田原』付近の静岡・神奈川では数が非常に少ない。

砂鉄の質の見極めは難しいが、成功しない場合、砂鉄の質の可能性も考慮したい。)

 

②炭・・・当然ながら高品位の方が成功しやすい。ちなみにコークス>木炭>石炭の順で有用。最初かつ入手しやすさから、木炭推奨。

(木炭>石炭の理由は、石炭にある硫黄分が鉄を弱くするため。その硫黄分を除去したのがコークス。)

③石灰(比率 砂鉄:炭:石灰=10:40(+α):1)・・・一番簡単なのは、貝殻集めて粉にして砂鉄と混ぜる。鍾乳洞などの石灰石があれば量を入手しやすい。入れる理由は、鉄に混じってる不純物と石灰が反応して『ノロ』を出しやすくなるため。

耐火レンガで記載したシャモットレンガ(粘土)・・・セメントなどを使う場合でも内側は耐火粘土で埋めたい。耐火粘土を使う場合問題無いが放熱する素材もあるため注意。

ふいご・たたら(鞴・踏鞴)または、それに準じた送風システム・・・後述するが、手動ならば数があればあるほど良いと思う。水車を利用した送風装置までいけば、高い高炉を作動させられ、成功率をあげられる。

⑥鍛冶のためのハンマーやトングのような物(欲を言えば鉄にしたい)

砂鉄⇒鋼鉄って直接行くわけでは無く、砂鉄⇒銑鉄(海綿鉄・ルッペ)⇒鋼鉄と変化させていきます。そのために、作って置くものは、『高炉(図面下)』『鍛冶場(上部写真)』。現代でも高炉⇒転炉と段階を踏んでいます。

高炉の形はいろいろあるのですが、自分は「るつぼ型」と呼ばれる上部と下部が狭くなってる形を薦めます。

製鉄のイメージなんですが、Aのように先に鉄以外を溶かして、鉄だけ残すイメージ。最初の高炉で鉄をドロドロに溶かすの難しいとは思いますが、もしもドロドロに溶かせるなら、比重の差でノロより先に鉄が下に来ます。

高炉の高さは1m~2m。高ければ高い程、鉄が下に行く時間が長くなり反応時間が長くなります。・・・それだったら高ければ高い程良いのでは?って話なんですが、自分たちが使用する手動のふいごでは、この高さが限界です。実際今の高炉も同じシステムですが、強力な送風が可能なため、高くなっています。水車を使った強力な送風装置が作れてるなら5mとかも可能。

温度が足りない炭焼きを送風して温度を一瞬あげて鉄を溶かすため、上と下以外の穴あきなどによる放熱に注意。耐火粘土で炉を作ってれば問題無いのですが、最近の素材だと『放熱』する場合もあるので注意。セメントで周り囲んでも、中は耐火粘土でるつぼの形にするのが良いのかもしれません。そのため、ある程度厚さがあるのが好ましい。

送風ですが、勿論欲を言えば熱風だとより良し。下から温度が漏れにくくするために、直接送風すると言うより、間接的に空気送るイメージで。風力足りないのもありますが、ノロで通風口が埋まる可能性もあるので、複数準備しとくと良いと思います。

銑鉄の作成

①高炉の中に炭を入れて、2時間ほど燃やして炉の中の温度を上げる。

②上から砂鉄と石灰を混ぜたもの(10:1)と、炭(砂鉄の4倍)を交互に入れる。を、数十分~1時間おきに繰り返す。

③この間中、ふいごの送風をとぎらせない。送風が弱いと火力が足らず失敗する。

④数時間おきに、炉の一番下から『ノロ』を輩出する。

(※ノロが出ない場合、炉の温度が足りていない可能性が高い。)

⑤操業を3日3晩続け、炉を壊せば、ノロの中に銑鉄が出来ているので、それを回収。

 

※備考 鉄ってのは、本来硬くて脆い。例えば、農具や刀などの固い鉄は、炭素が結びついた鋼鉄。ただ、炭素がありすぎても弱い鉄になる(銑鉄炭素4%以上、鋼鉄0.1~1.7%)。そのため、この銑鉄の中から質の良いモノを叩いて鋼鉄にする。なお、銑鉄も加工しやすい鉄で「釘」を作れると言えばイメージしやすいかも。釘と包丁じゃ全然堅さが違いますよね。

そのため、最古の鉄と言われる「隕鉄」での鉄器は呪術用などが多く、隕鉄を使って実用的な鉄器を使うためには炭と結び付ける必要がある。コスモ二ウムとか隕鉄とか流星剣とか、名前はRPG最強武器っぽいのですが、玉鋼と混ぜないと強度が難しいらしく、そもそも超レア素材でもあるので、実用的では無いと思われます。

銑鉄(炭素4%)⇒鋼鉄にするために、炭素を減らせば良いんですが、その方法が「熱して叩く」。酸素吹き込んで炭素量減らしてるのが転炉なんですが、とりあえずこの最初の製鉄ではこっちを採用。一回叩くと0.02%炭素が減っていきます。20数回叩けば、鋳鉄が鋼鉄になります。

鋼鉄の作成

出来た銑鉄で質の良いモノを、鍛冶場(炭をふいごで下から送風し温度を上げた場所)で、炭の中に突っ込み、赤くなったらハンマーで叩く。を、繰り返せば鋼鉄になります。刀や鎌などを作る場合、さらに刃を研ぐ必要がありますが、ここでは割愛。

 

 

『製鉄』はブログ初期から勉強して、二年間近い研鑽を纏めたのが、上の文章になるんですが、鉄だけで大学とか本一冊の知識が必要で本来1ブログの1記事で終わらせられる内容では無いので、要点とか方向性がこんな感じだと思ってくれれば幸いです。

「お前はこれで作れるのか?」って話なんですが、自分より遥かに詳しいであろう方々も、鉄の制作で思ったような結果が出ていない場合もあり、これで必ず作れるってより、作れる可能性が高くなるかも程度に思ってくれれば。ドクターストーンでも失敗してますし。やみくもにやるよりかはマシかなみたいなイメージで。実際は、トライ&エラーでやっていくしかないと思います。

正直、江戸時代でも鉄が貴重品だったように、製鉄出来るからって、『村人全員鉄の農具に新調した』みたいなのは不可能では無いが、現実的では無いと思います。(炭での木材の消費・砂鉄などの収集の能率が非常に悪い)鉄⇒磁石って繋げたように、次に繋ぐ感じに使いたいですね。

個人的に一番欲しいのは「鋸」なんですけど、鉄作れる=ノコギリ作れるってわけじゃないでからね。現実的には「鎌」「ノミ」とか、カンナとかその辺りですかね。結構、古代から製鉄はありますので、鉄を少しでも作れるってことが大事な事かな?とは思います。