異世界転生する前に

異世界転生する前に

異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

錫石・錫・青銅・(はんだ)

錫石

『錫石』を語る上で、大前提なのが、錫石は分布が偏っており、何処でも手に入る鉱石ではありません。レア鉱石と言っても良いと思います。そのため、異世界や地理状況によっては、そもそも手に入らない可能性もあります。

ただし、『銅』が入手出来るなら、少し話は変わります。錫石は、『孔雀石』と一緒に産出することが多く、孔雀石を入手出来れば、その付近に一緒にある可能性があります。そもそも、青銅自体が、たまたま銅と錫が混ざって見つけたらしいですし。

(※自然銅や硫化銅とも産出するかもしれませんが、自分が知りうる限りだと、孔雀石だと確定)

関東だと茨城の高取鉱山(錫高野)、関西なら明延鉱山で、両者とも『孔雀石』を産出します。(一応、『足尾銅山』にもあるらしい)また、比重もやや重く、場所は限られますが、『砂錫』などもありますので、探す際の目安になるかもしれません。モース硬度は6~7。

 

錫石の写真のフリー素材が無いので、他見て目に焼き付けて欲しいのですが、色は茶色~黒褐色。「黄鉄鉱」みたいな四角形の正方形の双晶・九連双晶になってる物や、花崗岩に紋様のように埋まってる物などがあります。

写真さえ覚えておけば割と目星が付きやすい鉱石のような気がしてるのですが、似ているのは『鉄重石』。(しかも、一緒の場所で一緒に花崗岩に出来てたりする)こちらはこちらで『タングステン』の原料で、それはそれで回収したいです。

「錫石」と「鉄重石」の違い

一番の違いは、「劈開(割れ口が平面上になる)」。鉄重石の劈開は、『1方向・完全』で錫石は『無し』です。そのため、鉄重石は『単斜昌系』。文献上は固さが違い、錫石がモース硬度6~7に対して、鉄重石がモース硬度4~4.5。

光沢の仕方が良く見ると異なるとか、錫石は粒状だとか、鉄マンガン重石だと色が薄くなるとか・・・鉱物は教科書通りにはいかないので、この辺りの情報を頭に入れておくと多少は役に立つかと。錫石も黒以外の色もありますし・・・。

(自分も博物館の「教科書」通りの鉱物ぐらいしか目にしないので、やや信憑性に欠ける情報です。実際、鉱物の鑑定は容易では無いと思っています)

なんか昔の精錬でも混ざってたらしく、当然ながら錫石精錬しようとして、鉄重石が混じると不純物が多くなります。

 

 

 

 

錫石ですが、正式には『酸化錫(化学式SnО₂)』です。銅や鉄の精錬でも書きましたが、酸化○○が一番簡単・安全に精錬出来ます。(硫化錫などもありますが、このブログは鉱石学者になりたい訳でないので、割愛して良いレベル)

復習ですが、酸化○○の還元方法を覚えてますか?炭と一緒に「空気の少ない場所」で熱すると、一酸化炭素が発生し、酸化○○の酸素を奪って、還元されます。

錫の融点は、約232℃と非常に低く、焚火の火でも融解出来ます(還元は酸素少ない処で)。なお、錫石には約8割ほど錫が入っていますので、錫石さえ数集められれば、錫も同量入手可能になります。

 

 

青銅・はんだ

古代人が、銅だけだと柔らかすぎて何も作れない(今でも銅線ぐらいだと思う)問題を解決したのが、錫との合金、『青銅』です。

合金と言うと難しいイメージがありますが、単純に銅と錫を一定の割合で混ぜて溶かせば良いだけです。青銅の融点は、約875℃ですので、精錬する場合には、製鉄の炉で行うのが確実かと思います。

銅:錫の比率ですが、銅がふにゃふにゃなのを、錫で固めるので、錫が多い程硬くて脆くなる。7:3が基準っぽいですが、用途によって、8:2・9:1など、ここはトライ&エラーで適した比率にしてください。場合によっては、『鉛』を5%~20%混ぜる場合もあり。

錫の他の用途に、鉄に錫メッキを施した「ブリキ」(この場合は、このブログでは「溶融メッキ」になるかと)、錫食器などに使われます。

 

また、古代で用途があるか分かりませんが、銅+鉛で、『はんだ』が作れます。銅:鉛=5:5or6:4。

参考までに各融点は、銅1083℃、青銅875℃、鉛327℃、錫232℃、はんだは183℃です。

 

 

 

以前にも書きましたが、金属としての硬さ・軽さなら間違いなく鉄>銅です。ただ、精製しやすさは銅の方が遥かに上で、炉の温度問題の関係上、このブログでは『鍛鉄』+『鋳造(銅)』を基本としていきます。

青銅で何が出来るのか?で一番有名なのは、銅像ですね。(鍋や水道管などは、このブログの現況では不純物混じるためやや否)個人的には、青銅で釘やネジを作りたいと考えています。(現代でほぼ使われていないように、鉄の方が遥かに適してるが、代用品として)

意外なところだと、船のスクリューとかは青銅(厳密には銅の合金)って文献に載ってました。『鋳造』が発展していて、かつ、そういう力学・設計が出来るなら、船にスクリューつけて・・・人力で回す羽目になるから無理か。一応、青銅で創られるって覚えておくと良いかもしれません。