異世界転生する前に

異世界転生する前に

異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

南蛮絞り・灰吹き法・(アマルガム法)

特に『金(それに含まれる銀)』に関してなんですが、ゲームのようにツルハシで『金塊』は出ません。(0とは言いませんが)金は、1トンに5gあれば優良(キロではなくトンです)で、『金の粒を見つける作業』。作業的には山を崩して金を手に入れる、イメージ的には砂金を川から掬うのと大差無いと思います。

甲斐の金山がそうなんですが、古代文明だと『辰砂』でも話しましたが、基本『目視』による『手分け』作業になります。黄鉄鉱がありますが、『砂金』と同じく、金は目を引きやすいので、見分けは難しく無いと思われます。

問題は、目視出来ない量の『金・銀』が硫化銅などの鉱石に混じっていて、それを取りだすための方法が上記の方法になります。要は、粒が取れれば良い方で、そういう粉でも集めると、量になって、効率が上がる、粒・粉でも『金銀』なら、採算が取れるほど価値があるって話になります。

・・・海水から『マグネシウム』、木灰から『炭酸カリウム』、木酢液からなどと、同じように、科学の地味な作業になるってことを頭に入れて置いてください。少量でも採算採れるのが、金の凄い処かつ入手する価値がある物とも言えるのですが。

選鉱

目視出来る金の粒はその時点で回収すれば良いのですが、「他の入ってるかもしれない鉱物」をどう見分けるか?なんですが、鉱石を粉々に砕いて、川(正確には水流)に流す『比重選鉱』を行います。(要は『砂金』のパンニングに近い)

金・銀は、比重が重いため、同じ大きさで水に流した場合、金銀が入っていれば先に沈む・先まで流れにくいです。これを水の底に布など引くか、手作業かで回収します。

 

南蛮絞り

主に硫化銅なんですが、『銅』は灰吹き法では分けられません。そのため、主に『方鉛鉱』から採集出来る『鉛』と混ぜることで、合金を作り、冷やすと、先に『銅』が出てくるので、それを回収します。残りの鉛には、『金・銀』が僅かに含まれてる可能性があります。

補足1 この時、銅の融解には1085℃以上必要なため、焚火では難しい。製鉄の容量で、炭+窯で温度を上昇させた状態で、銅+鉛の合金を作る必要がある。

補足2 このブログの『鉛』は、不純物混じりになっています。方鉛鉱には、『銀』がほんの僅かですが入っており、この方法だと、その銀も回収出来る・・・かも。

補足3 量が多い場合ですが、『金+銀が溶けてる鉛』は、最初の選鉱と同じく、溶けてない鉛よりも比重が重くなります。絞りたい場合は、参考になるかも。

 

灰吹き法

南蛮絞りで出来た合金(鉛+金・銀)を、鉄などの容器に入れた『骨灰』の上に乗せ、約800~850℃以上空気を入れながら熱すると、鉛が酸素と結合して、『酸化鉛』になることで、骨灰に吸収され、金+銀の合金だけが残る。

(補足 骨灰でなくても、「ポルトランドセメント」「酸化マグネシウム」でも代用可能だが、『古代文明』の入手難易度的に、骨灰一択かと。膠などを取り除いて、骨では無く、骨灰にする。作業中に『空気を送る』ため、粉だと飛散するので、固める必要もありそう。)

 

・・・と、『理論上は』これで合ってるし、実際やっていたと思うのですが、要は『鉛』を完全に骨灰に浸透させる・気化させる必要があるんですが、とても大変です。この『浸透』なんですが、お風呂の排水みたいに流れるのではなく、水が染みこむみたいな感じなのと、気化に関しても、鉛は沸点が『1751℃』のため、あんまり気化してくれません。

鉛の量によって、時間は変わってくると思うのですが、文献にも時間が載ってないのですが、1~2時間で終わる作業とは思わないので、向こうで研鑽してください。鉛の量が少ないと、合金になる量も少なくなり、多すぎると今度はこの灰吹き法が手間になります。

補足1 気化に関して、一応書いておくんですが、沸点は、気化し始める温度ではありません。お湯も100℃じゃなくても湯気出ますし。ただ、お湯を100℃にしないで、気化させるの時間かかりますよね?そういう感じだと思ってくれれば。

補足2 これは『鉛』で紹介してますが、これを『水銀』で行う場合は、『アマルガム』になります。方法としては同じなのですが、辰砂=水銀は、中部地方など、場所が限られ鉛より貴重なため、古来日本では、鉛での作業が一般的です。

 

 

金・銀の生産効率が上がり、目視だけより2倍以上になると思われますし、戦国時代の銅鉱石を輸出、中の金銀を輸入も止められますし、『治世者』『国力』って観点からは、非常に有用な作業だと思います。

デメリットとして『作業者が死ぬ』。鉛(水銀)を気化する作業って点でお察しなんですが、これを『仕事』として常時やるのなら、間違いなく、鉛・水銀の重度の中毒者になります。昔の鉱山作業自体、そういうリスクがある作業ですが、『やる・やらせる』のであれば、その点には注意。

 

考察1 絵巻とかだと、直で作業していますが、アレ800~850℃いくかちょっと疑問。鞴で坩堝使えば、行く温度なので、その方が正しいかも。

考察2 なんで、還元の様に穴でも掘って、その中で温度上げて灰吹き法するのが、温度的に妥当なんですが、『空気が必要(酸化鉛)』なのが、ネック。

それが、無ければ、辰砂の還元の様に、穴掘って炭火焼きして、逃げる(空気中に垂れ流しで、環境に悪いですが、作業者に害は無くなる)って手が使えるんですが、これは空気が無いと駄目なので、穴などから風呂焚きの要領で空気を送らざるを得ません。

考察3 鉛・水銀を消耗するため、この気化してる鉛・水銀を集めて、冷却すれば、再利用可能は、可能だと思います(そういう仕組みを作れれば)。文献に載ってないので、おそらくですが骨灰に浸透されてる『酸化鉛』も『還元』すれば、再利用可能かと。

 

 

これだと金銀が合金のままなのですが、とりあえずここまでで(『にがり』とか、『硝酸』とかで分ける)。ちなみに『自然金』って呼ばれてる物も、金+銀の合金の場合が多く、逆に砂金が純金に近いようです。

『灰吹き法』って結構知名度ありそうな気はするんですが、当然ながら研究員が実演とかはしてませんね。海外の動画で、ポルトランドセメントを使った灰吹き法を参照しましたが、自分が想ってるより大変だった印象。

鉛・水銀対策に『ガスマスク』って手もあるんですが、火を使う熱い作業の中のマスクは経験があるんですが、説得するのが難しいかも。また、毒を吸着してくれる活性炭を作る必要がありますし、作業者なら1日1回変える(現代の『塗装』のマスク基準)必要もアリ、人命第一なのは当然なのですが、実際問題だといろいろ面倒そう。

この方法、取りこぼしがあるのでは?に関しては、その通り。この後、『浮遊選鉱』『青化法』が出来て、佐渡金山のズリから再度回収されています。青化法は、シアン化カリウム(青酸カリ)で、『原油』経由の技術なので、先の話で、浮遊選鉱の補修材は届かない範囲で無さそうなんですが、複雑なんで、とりあえず、この方法を覚えておくと、戦国などでは役に立つ可能性があるかもしれません。