異世界転生する前に

異世界転生する前に

異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

藻塩焼・揚浜式塩田

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前回、塩・製塩で触れましたが、海水の水の中には、塩分は3%程度しか含まれてません。それを、簡単に説明すれば煮沸すれば、3%程度の塩は採れます。

ですが、さすがにそれは、労力に対して得られる塩が少なすぎるということで、人々は工夫し始めます。

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藻塩焼(もしおやき)

では、どうすればもう少し、容量よく塩を採取できるか?

3%の濃度しかない海水の塩度濃度を高めれば、同じ量の水を燃焼する力で、より多くの塩が採れるようになります。

この濃い塩水を作る作業を採鹹(さいかん)と呼び、塩分の入った水を鹹水(かんすい)と呼びます。

まず、人々は、浜辺に落ちてる乾燥した海藻の表面に塩分を、煮込む海水に洗い流していれてました。もともとの海水の塩分+海藻についてた塩分で、濃くなる。

(灰を使ってたとか、海藻の上からなんども淡水をかけてたなどの諸説ありますが、一番簡単そうなものをチョイスしてます。)

これを藻塩焼きといいますが、やらないよりはマシ程度で、効率は良くなく、ある程度の時期を境に廃れてしまいます。

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揚浜式塩田

沿岸の海水が侵入しない盛り土になってる土地に、粘土もしくはモルタルまたはセメントを薄く軽く固めて、その上に浜の砂を巻き、そこに海から海水を汲んできて、砂に撒きます。

砂に浸み込ませた海水を天干しによって水を蒸発させていくと、毛細管現象(地中の水が地表に霜柱つくる現象)により、塩水が表面に現れます。

この際に、くわのようなもので、砂の表面をかき混ぜると、蒸発が早くなります。(夏日で2~3日程度)

その表面の砂を集めて、沼井(ぬい)と呼ばれる(上部写真参考)囲いの中にいれます。

そして、そこに海水を流し込むと、砂の中についていた塩分が溶け流されて、下の穴から濃度の濃い塩水が出ます。

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沼井の外壁は、水が染み込まないものでないと駄目なため、単純に穴を掘ったり、木材では駄目ですね。穴掘って外壁に粘土かモルタルを燃焼させたもの、もしくは開発出来ていれば、セメントを使って外壁を作ります。

一番下を粘土で覆うことにより、砂が最後の鹹水に混じることを防ぎます。(水に溶けてる食塩はろ過出来ない)その粘土に砂がくっつきにくくするために、小さな穴の開いた板を砂と粘土の間に挟む形になります。

あとは、この回収した鹹水を煮込めば、普通に海水から煮沸するよりも、多い量の塩を採取出来ます。ちなみに塩を煮詰めるのを煎熬(せんごう)と言います。

 

沼井さえなんとか準備すれば、文明が発展してなくとも、揚浜式塩田(実際には、数人分の調達するのに塩田もどきになりそうですが)は、可能であると思いますが、弱点があります。

砂に海水を撒いて、表面に出るのに2~3日(冬や天候によってはもっと伸びる)かかり、その際に雨が降り注いだら、一からやり直しです。

雨を防げるものが、存在しないため、せっかく砂にため込んだ塩分が、雨水に溶けてなくなってしまいます。なので、梅雨時期や、雨の多い地方では、この方法は向きません。

 

まとめ

①海の近くの潮が入らないところに、粘土などで平地を作り、その上に砂を敷く。

➁その砂に、海水を撒く。

③海水を蒸発させるため2~3日、天干しにする(くわでかき混ぜると早い)

④その砂を、沼井と呼ばれる囲いにいれ、その上から海水を注ぐ

⑤沼井の下から出てきた鹹水を、回収し煮込む

 

自分一人用の塩位だったら、土器に塩水張って、天干しして回収出来るかもしれませんね。ただ、人数増えてきた際に、塩の採取は、必然になりますので、気候や条件に恵まれていたら、最初の産業として発展させてみてはいかかでしょうか?

 

この塩の取り方、日本では昭和30年頃まで、100年前ぐらいまでは、このやり方に近いやりかたで塩を作ってましたんで、かなり使える方法だと思います。

人力で砂に海水を撒くんじゃなくて、塩の満ち引きで海水を染込ませる『入浜式塩田』ってのもあるんですけど、赤穂市立海洋科学館・塩の国に行っても、その技術分からんかったんで、勘弁して。そっちは、潮の満ち潮の差とか、より条件が厳しくなります。