異世界転生する前に

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異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

千歯扱き、脱穀関連

このブログでも『小麦・大麦』は、野生で生えてるのが入手出来るって言う程なんですが、主に穀類は茎から粒を外す『脱穀』という作業が必須になります。

一番原始的な脱穀法は『叩く』。下に敷物を引いて、稲穂を叩く、もしくは穂を置いて、適当な棒などで叩くと、実が下に落ちます。

が、当然ながらこの方法だと、取りこぼしも多く、自分で育てた作物を『一粒残らず収穫したい』は、当然のことかと思います。

 

そこで『扱箸・扱管』という道具を使い始めます。簡単に言うと、『竹二つ』で穂を挟んで、ローラーみたいな感じに実を落としていきます。竹が二つあれば出来ますし、『手間はかかりますが』、取りこぼしも少ないので、古代から長年使われてきました。このブログでも、初期とか最悪コレで良いんじゃね?とは、思いますので、覚えて損はないと思います。

さらに、これを『一気にやりたい』って要望に応えたのが『千歯扱き』になります。

 

千歯扱き

郷土博物館などに置いてあることが多いのですが、コレの使い方分かりますでしょうか?簡単に言うと、上の『扱管』を複数で一気にやってる道具で、歯の鉄と鉄の間に、穂を通すと、穂だけ通って実が下に落ちる。意外と力業で何とかしている道具です。そのため、使用の場合には、下に『御座』などの敷物を敷いて、実の回収、千歯扱きを押さえつけるために、下部に踏みつける板や木などが必要になります。

            

      千歯扱き 倉吉・若狭・横浜 横浜市歴史博物館 より引用

千歯扱きの作り方

土台になる部分は、そこまで複雑では無いんですが、『歯』の部分が分からないのではないのでしょうか?上の図が、千歯扱きの『歯』の裏面になります。

実を落とす部分『穂』と呼ばれますが、17~27本で『鉄製』を推奨。鉄以外にも竹とか樫の木で作れなくもないのですが、『耐久性に難アリ』。引っ張って落とす訳だから、物凄い力がかかり、鉄製でも数年に1回は修理を要すると記載があります。

このブログの現況だと、『鉄』は創るのがかなり大変ではあるんですが、『千歯扱き(というより農具全般)』には、最優先で回して良いと思います。

分かりやすく、赤で塗ってますが、これは『和釘』で止めます。

(補足 『釘』に関して、自分のブログで記載してないのですが、現在『西洋釘』『和釘』と別れていますが、古代の釘は、欧州・日本問わず、和釘だと思われます。

現代の『西洋釘』は『軟鋼』で作られており、たたら製鉄などの昔の製鉄で、軟鋼を大量に作るのは、おそらく不可能)

  

からみ釘について(やや考察)

上の設計図、自分が最初に見たときに、押打棒を止める『止め釘』は分かるんですが、『からみ釘』がよく分からん?って感想を持ちました。文献にも記載があるんですが、いまいち要領を得ないので、このブログ『自分で作る程』ですので、考察を記載しておきます。

 

現代で『千歯扱き』を自作したいと思う方は、上図のⒶⒷにそれぞれドリルかなんかで穴開けて、ビスか何かを打ち込んで固定すれば、それで済むと思います。

ただ、古代文明だと、何かしらの理由でそれが出来なかったのかな?と思われます。

(①鉄に穴を開けられなかった?・・・『止め釘』も穴を通す部分の歯をヤスリで削って通しており、穴開けるのが難しいor大変過ぎる。

②固定できるビスのようなモノがなかったor作業中に力がかかりすぎて固定できなかった?・・・一応、文献にも下部を『鋲』のような物で止めると記載があります。実際、新しい千歯扱きは、からみ釘では無く、上のⒶⒷ固定法に代わっています。鋲だけだと、この千歯扱きの作業中、物凄い力がかかるので、抑えきれない?)

 

伝わるか分かりませんが、直接釘で止めるのではなく、ボールを手と手で押さえる、木の棒の中に入ったボールのように、鉄と鉄で挟んで留めるのが「からみ釘」・・・のような気がします。分かりづらいんですが、上の右側が自分のイメージ図です。

この時代の『和釘』で量産じゃなく、1つ1つ作るので、上と下で同じサイズ、しかも真っすぐな『小さめな釘』を歯が固定するように留める。理屈は多分こうだと思うんですが、これ創ってた職人、ホントに凄い技ですね。

 

 

 

 

 

と、ここまで丁寧に『千歯扱き』の説明をしてきましたが、実際は、『千歯扱き』っぽいナニカでも十分だと思います。ネットで文献探してた時に、ネジを千歯扱き風にしてるのも見かけましたが、効率上がるならそれで充分使えると自分は考えます。千歯扱き自体を作れるというより、『こういう方法がある』って知ってることが大事だと思います。

あと、効率が2~3倍になり『後家倒し』と呼ばれた話ですが、なんかブラック企業みたいで嫌ですが、時間浮いた分他の作業に回して貰えれば良いかと。別にこの作業早くなっても、収穫とか精米とか、結局村全体でやらなければならないのには変わりないですし、もし製糸業、養蚕などが発展してるのなら、織物っていう無限作業もありますし。一応、導入する場合には、その辺少しだけ気にかけた方が良いかもしれません。

この辺の脱穀の話、プレイしたことは無いのですが、『天穂のサクナヒメ』で取り上げてます。実際、農業やってたら、これより大変だって意見も分かりますが、こういうので勉強すると頭に入りやすいですね。

(ゲームでも、千歯扱きの次が『足踏み式脱穀機(非電気)』なんですが、いける人は、そこまでいっても良いかもしれません。とりあえず、他の脱穀・千歯扱き優先してたので、詳しくは分かりませんが、やろうと思えば出来るのかも?)

自分もこのブログする前まで、郷土博物館とか、千歯扱きとかスルー気味でしたが、今は食い入るように見てるので、今なんでも便利ですけど、昔の人の英智って凄いなぁって思えるきっかけになれば幸いです。