異世界転生する前に

異世界転生する前に

異世界転生する前に現代社会の栄智を勉強しておきたい

麹(こうじ)・種麹

Q「無人島で、0から麹を作れますか?」

A「ほぼ無理。(不可能では無い)」

 

日本食で馴染み深い、「味噌」「醤油」を作るのには「麹」が必要になりますが、どの文献であっても『種麹』を使ってくださいと記載があると思います。

じゃあ、その「種麹」ってどうやって作るの?の解答は99%が、市販で売ってる物を購入してくださいって解答になります。

「え?じゃあ、そしたら0から麹創りたい人(要は種麹を買えない状況、市販の種麹を使わない)はどうすれば良いの?」ってのが上の質問の意図だとは思います。

先に答えを書いておくと、このブログでも『現代』で自作で麹を創りたいのなら、100%市販の種麹を買って使うことを薦めます。専門でも無い自分のブログでもそうなんですから、麹を専門や自作することを推奨するブログなら、種麹を市販以外で使う方法を取るのなら、信憑性が著しく落ちますね。

種麹の作り方

このブログでも1ミリも市販の種麹を使わない方法を推奨してない、自己責任でお願いします・・・という前提で、市販の種麹を使わない種麹の入手の仕方を記載します。

 

まず、前提の知識として麹菌=カビの一種。そして、麹菌は基本日本にのみ生息しています。

(※厳密にいうと、中国や東南アジアには類似の菌がある。豆板醤とかがそれに値します。異世界転生先の有力候補の欧州には居ません。

 欧州に麹菌を輸出すれば、味噌や醤油を欧州でも作れるのでは?に関しては、キッコーマンがオランダで創ってるように、日本の麹菌を輸出して『適切な環境』で育成すれば創れます。湿度も気温も低い欧州では、日本のようにほっといて麹菌が育成することはありません)

 

その麹菌が何処に発生するか?と言うと、『デンプン』・・・要は、米・小麦・大豆などに『運が良ければ』発生します。一番最初の麹は、神社にお供えしていた稲に付いたとされる文献もあります。

現代で、パンを放置していると白いカビが生えると思うのですが、それが麹菌の可能性があります。じゃあ、そのカビを種麹にすればいいのか?って質問に対しては

①パンを放置している白カビには、麹菌以外の菌もたくさん繁殖している。

②現在、市販されてる種麹は、それに適した用途のために品種改良(少し語弊があるかもしれませんが)されており、その辺のパンから獲った麹菌を使っても、似て非なるモノが出来る可能性が高い。また、①と併せて衛生上非常にリスクがある行為。

 

つまり上の「無人島~」の回答は、

無人島が麹菌のいる日本(もしくは東洋)であること。

②運よく神社などにお供えしてある稲などに麹菌が発生している。もしくは、自然発生した稲が稲こうじ病を発生しており、「稲玉」を採取出来る。主人公が何故か市販の種麹を持ってるでも可。

(※どちらにしても、米麹・麦麹・豆麹を作るためには、母体となる米・麦・豆が必要なので、いずれかが自然発生してないと厳しい。味噌や醤油もそれが原料ですし)

③さらにその採集した「麹」が、味噌や醤油を作るのに適している。

①・③はともかく、②は小説でも「無いわ~」って言えるレベルだと思います。

 

空中に浮いてるんだから、例えば意図的に米やパンを放置して、種麹を採集出来る?に関しては、0では無いが現実的では無い。

米なんてカピカピに乾燥して干し飯(戦国時代の携帯食)になるか、別のカビも混じって酷い有様になるのが目に見えてます。小麦やパンも同様でしょう。

ここまで説明すれば、麹を作るのに、100%市販の種麹が必要な理由も納得してくれると思います。

 

ただ、たとえ低い可能性であっても「日本で稲作やってる農家」なら、いずれ100%入手出来る素材ではあります。だからこそ、日本の農家で、自作の味噌作りが行われていたワケですが(手前味噌)。

異世界転生する欧州では存在しない・輸入しても温度、湿度の調整が技術的に難しく、欧州では導入出来ない、日本でタイムスリップしても古い時代から各農家で味噌作りは行われていると、『麹』での知識チートは難しいと思います。

このブログではまだ「稲作」を行っていませんが、稲作を行えば、嫌でも稲こうじ病の『稲玉』を入手出来ると思います(※病気ですので、稲の収穫量が落ちるので本来好ましくない)ので、稲玉=種麹として、0から文明を発展させた場合の麹の作り方を記載します。

先述の通り、パンからの白カビから作ることも不可能ではありませんが、パンの白カビ=麹菌の保証が無い(菌なのでヤバイ場合も有)・他の菌をなるべく混ぜたくないため、このブログではほぼ不可能と見て却下。

先述の通り、自分たちが今食べてる醤油や味噌とは、似て非なる可能性が高いとは思いますが、そこはトライ&エラーで。秘伝の味とか家庭の味とかって表現が相応しい気がします。

 

 

麹の作り方

必要なモノ 蒸し器(せいろ)・布・白米・種麹(ここでは稲玉を種麹とする)・(椿灰)・(温度計)・(温度を調整できる何か)

※せいろや布は、消毒して他の雑菌が入らないようにする。0から作るなら、電気分解が出来るのなら、塩水を仕切り無しで電気分解して作る次亜塩素酸ナトリウム(コロナ対策で店頭にあるやつ)。無い場合でも日光に当てておくなど、ある程度対応可能。

 椿灰に関しては、無くても創れるがあった方が成功率が高い。特に今回は純粋な市販の種麹で無いため、他の雑菌の育成阻害・麹菌の育成増進する椿灰は使用したい。最悪、木灰でも代用可。

 温度計・温度調節に関しては、昔の日本では温度計無いので「肌感覚」で正解を知っていたものと思われる。この麹は、温度調整が全てと言っても良いので、ガラス+水銀の温度計は現代人なら欲しい。現代なら、保湿機とか保温機を推奨だが、保温のためにせいろを布で包む・いろりの側やいろりの熱などで上手く麹の温度を調節すると成功しやすい。寒冷地方の養蚕でも同じような手法が見られる。

 

①米を洗い、一晩水に浸けて置く。(白米でなく玄米でも創れるが、白米の方が創りやすい。水に浸ける時間は、季節によって差異あり。)

②水に浸けていた米を水切りして蒸す(食用の米より、かなり硬めに作ると成功しやすい。食用の米の固さでも作れなくは無いが)

③麹菌は28℃以下で活性化が鈍くなり、45℃以上で死滅する。そのため、麹菌の育成温度は35℃~40℃が望ましい。蒸した米がその温度になるまで待つ。

④(椿灰を振りかけ、)種麹を混ぜる。種麹の量は、米1キロに対して種麹1グラムあれば足りるが、ある程度量を混ぜた方が成功しやすい。

⑤③の通り、その混ぜた米を、35℃~40℃で保温し続ける。布に包んでせいろに入れて封をする・夏場の温度の高い時期に創る・何かしらの熱源で温度調整する、どの手段でも良いが温度が低くも高くもなり過ぎないように注意。

⑥温度が安定してるのなら、そのまま放置して、6時間ごとに全体を混ぜて、3日目には上手く行けば麹が出来ている。あとはその麹で、味噌を作るなり、醤油を作るなり、塩麹を作るなり。

 

 

『中世ヨーロッパでは存在せず、日本から種麹持って行っても気候の関係上導入が難しい』

『類似菌に関しても東洋にしか生息しておらず、異世界で麹菌を使える可能性は低い』

『日本で導入するにしても、デンプンに種麹が付くかどうかは「運」。ただし、稲作をしていれば、稲こうじ病の稲玉など、いずれ100%入手出来る』

『麹は、現代の市販されてるモノは、それ用に種麹が改良されており、偶然で創ったモノだと、現代の醤油や味噌と似て非なる可能性のモノが出来る可能性が高い』

『そのため、異世界や中世では導入が難しく、日本では農村で誰でも作れるため、麹菌での異世界チートは難しい』

このブログ来る人なら、要約すると上の知識があれば十分かと思います。基本『麹』=日本の稲作の副産物ぐらいの認識で良いと思います。醤油・味噌に関しては、加えて小麦があった方が確実ですね。

異世界モノで味噌・醤油を導入している小説も見たことあるきがしますが、「その異世界に日本と同じように麹菌が生育している」のなら作れると思います。まぁ、それでなくてもそこまでリアリティ求めなくてもなぁと、自分は思いますが。あんまり正確な知識チートになると無理ゲーなのと、多分読んでて面白くならないんですよね。

ただ、書き手がリアリティ求めてる小説で、中世ヨーロッパに味噌を導入とかなると「???」とはなるので、頭に入れておくと良いかもしれません。余談ですが、日本の戦国時代の足軽の携帯食料は、干し飯・梅干し・味噌・芋がら縄です。