以前に、植物の木灰から採れる炭酸カリウムを使い、油脂と混ぜて作るカリウム石鹸を紹介しました。一応、海藻（ホンダワラなど）の灰から採れる炭酸ナトリウムを使うナトリウム石鹸に関しても書いていこうかなと思います。
先にですが、電気を開通して、食塩水の電気分解で水酸化ナトリウムが大量に入手できるまで、ナトリウム石鹸を造るのは、あまりおすすめしません。あとで、いろいろ説明しますが、カリウム石鹸どころか、我慢できるなら木灰で身体洗うのが効率考えたらいいかもなぁとは思っています。
ナトリウム石鹸
カリウム石鹸が、油脂＋木灰の合成物（炭酸カリウム）だとするならば、ナトリウム石鹸は、油脂＋一部の海藻の灰（炭酸ナトリウム）で出来ます。
①一部の海藻（ホンダワラが望ましい）を集め、それを燃やし、その灰を水に浸し、その上澄み液をすくう。その上澄み液をある程度集める。
②その上澄み液を熱し、そのなかに油脂（動物の脂肪でも、ごま油でも、オリーブオイルでも良い）を混ぜると石鹸が出来ます。
・・・なんですが、現代の世界でも最も使われてる石鹸は、苛性ソーダ（水酸化ナトリウム）を使ったナトリウム石鹸です。ドクターストーンの漫画でも石灰→石鹸ですので、厳密にいうと石灰⇒水酸化カルシウムにして先ほどの海藻の灰の上澄み液（炭酸ナトリウム）の両方を水溶液にして混ぜて水酸化ナトリウムを作って、水酸化ナトリウム＋油脂（作中ではおそらく動物の脂肪）で、ナトリウム石鹸を造っていると考えられます。
※水酸化ナトリウム、通称苛性ソーダは、劇物指定されており、薬局で買う際には身分証明書と印鑑が必要な薬品。苛性とはタンパク質や脂肪・・・つまり人間を溶かす性質を持つ薬品のことであり、取り扱いは厳重注意。現社会で使う場合には、必ず眼鏡や手袋などの保護具を着用してください。
①苛性ソーダが固体の場合には、水に溶かす。水：苛性ソーダはだいたい３：１って感じぐらいでしょうか。苛性ソーダを水に入れると高温の熱と刺激臭のするガスが発生し、また突沸する可能性があるので注意。以下全部ですが、素手では手が溶ける（火傷する）ので、液には触れないように注意してください。
②苛性ソーダの水溶液に、油脂を混ぜる。高温のまま油脂を入れると跳ねて危ないので少しだけ覚ましてから入れる。
③パンの生地のようにクリーム状になるまで混ぜます。２０分～２時間程度らしいです。
④それを３日～２週間程度、陰干しさせればクリームが固まって固形石鹸になります。
このナトリウム石鹸を序盤に作成するのをお薦めしない理由。
①電気が通ってない状態、食塩水を電気分解出来ない状態だと、ナトリウムを入手する手段が簡単に手に入らない。
水酸化ナトリウムの入手には、水酸化カルシウム＋炭酸ナトリウムの水溶液の合成。その炭酸ナトリウムは、その成分を持っている海藻の入手がそこまで簡単では無い上に、１キログラムの灰から約１グラムしかとれません。
➁仮に水酸化ナトリウムを作ってもガラスの容器が無いと保存・管理が難しい。
先ほども書きましたが、水酸化ナトリウムは劇物です。間違って誤飲なんてしたら間違いなくあの世行きです。そんな危ない薬品を土器で野ざらしにしておくのは、自分の生命のリスクを上げてると思います。あと、水酸化ナトリウムの液体（個体も？）は多分、空気中のＣО₂（二酸化炭素）と反応するかと思われます。ガラスの容器で密閉すれば、空気との反応を防げますが、それ以前だと苦労して作ってもすぐに使わないと無くなる可能性有ですね。
・・・なんで、序盤は燃料や火を起こすのに必ず発生する木灰を使ったカリウム石鹸（もしくは木灰そのもの）を使った方が効率が良さそうです。ただ、電気が開通して水酸化ナトリウムを大量に生成できるようになったら、雑草で作れる『紙』と同じく大量生産したい生活用品の一つではありますね。
・・・水酸化ナトリウムの記事に関してはちょっとお待ちください。
Ⅽa（ОH）₂（水酸化カルシウム）＋Na₂ⅭО₃（炭酸ナトリウム）→２NaОH（水酸化ナトリウム）＋CaCО₃（s）
いや、この化学式で生成できるのは理解したんですが、実際それをやってる動画見たんですけど、簡単には上手くいかないっておっしゃられてたんですよね。水酸化ナトリウムは、ほぼ電気分解で作るので、こっちの資料は圧倒的に見当たらないんですよね。
水酸化カルシウムは水に溶けにくいから水酸化ナトリウムが出来ても採取できる量があまり無いとか、高温の方が成功しやすいとか、水酸化ナトリウムは空気中の二酸化炭素と反応するとか、いろいろ疑問点ありまくりですよね。ただ、透明無色の水溶液だから、素人の環境じゃ自分がやっても確認できなさそうなんですよね・・・。
あと、炭酸水素ナトリウムNaHCO₃の水酸化ナトリウムNaOHにⅭО₂足すと生成出来るって聞いたんですが、
NaOH＋ⅭО₂→NaHCO₃
つまり水酸化ナトリウム溶液にストローか管かなんかで息（ⅭО₂）吹きかけたら、炭酸水素ナトリウムになんのかこれは。
(追記）よく考えたら、誤飲したらあの世に行く水酸化ナトリウムに管で息吹きかけるのは無いですね・・・。文章にまとめて人に伝えると思わぬミスを見つけられますね。
ちょっと面白いけど難しいな化学は・・・。
